荒川クリーンエイド・ビンゴゲーム

~川口市の小学生たちの環境教育

 前に、「あらかわ学会」会報で、川口市の小学校の自然教育の例を足立区の小学校とのご縁で紹介したことがある。この3月の学年末に5年生を対象とした講師依頼が集中し、2つの小学校を午前と午後、ダブル・ヘッダーでこなしたりした。

 川口市では、4年生で荒川のことを学び、5年生で、水や森林・地球環境のことなどを勉強する。実践面に向けたそれらの授業のまとめとしてたまたまお声をかけてくださったようだ。さすがにダブル・ヘッダーはためらわれ、お断りしようかと思ったが、未来ある次世代の子供たちにじかに接しうるチャンスを無駄にするのはもったいないとおもいお引き受けした。

 40名ほどのクラスを4時間、立て続けに入ったり、百数十名を大教室で一度に相手したりする。地域の自然の全体像をとらえるワークショップ、地域環境クイズ、荒川クリーンエイド仕様の長さ130センチの最新型透視度計を使った荒川源流の水と川口市を流れる荒川の水の透明度の比較、そして、荒川クリーンエイド゛・ビンゴゲームなど、など。

 最初は「このおばちゃん、なに?どういうひと?」というふうにいぶかったり、戸惑ったような子供たち。そのうちにのりにのってくるし、鋭いボケとツッコミをしてきて、こちらがたじたじとなるような指摘や質問もしてくる。普段、本業の日本語教師では外国人や留学生対象なので、このように日本の子供たちと触れ合えるのはうれしい。ましてや、日本の子供たちの感性がまだまだ生き生きしているのを肌で感じられるのは楽しいことだ。

 それにしても小学校の現場に入らせていただき、先生方のご苦労がしみじみ身にしみる。生きた人間相手の教育もさることながら、昨今の『総合教育』の取り組みについては真剣な先生ほど悩んでおられ、外部の自然環境講座などに勉強にいかれたり、市民ボランティアの企画する水辺のイベントに子供たちとともに参加されたりしている。

 ある小学校の校長先生がいみじくも口にしていらっしゃった言葉が印象的だった。「『総合教育』とは、僕は、『第3次教育改革』だと思いますよ。明治6年の近代教育に向けての改革、敗戦後の民主主義教育の改革、それらに次ぐ大きな変化だと位置付けられるんじゃないかと。」

 前述の「荒川クリーンエイド・ビンゴゲーム」は、私が考案・試作したもの。ビンゴゲームを応用して、9つのますを持ったビンゴゲーム・シートを作り、荒川クリーンエイドに関わる9つの問題を用意し、それぞれ3つの選択肢から1つの正解を当てるゲームで、たて、よこ、ななめのいずれかで正解が3つ並べば「ビンゴ!」である。

 それらの問題の中身は、荒川クリーンエイドで出たゴミの状況、クリーンエイドに参加したおとなや子供たちの反応、荒川の水や河川敷の現状、荒川の自然、クリーンエイドをしたその後の変化、などについてのもの。

 一例を挙げると...

1.荒川クリーンエイドで子供たちがたばこの吸殻を拾っていました。たばこを吸っていた野球のおじさんはどうしたでしょう?

 1)おじさんはたばこを吸いつづけました。
 2)おじさんはたばこを吸うのをやめて足元に捨てました。
 3)おじさんは自分のすいがらをゴミ箱に捨てて、周りの吸殻も拾いはじめました。

2.荒川クリーンエイドに参加したお母さんはなんとおっしゃっていますか。

 1)うちの子は、まだ、学校や家でごみを捨てています。
 2)うちの子は、ゴミを捨てないようになっただけでなく、他のひとが落としたゴミも拾うようになりました。
 3)うちの子は学校や家でゴミが落ちていても見ないふりをしています。

 子供たちが、ゲーム感覚で答えていくうちに、クリーンエイドや荒川をめぐって、知識を得、興味を持っていけるように考慮している。

 授業の後、子供たちから寄せられた作文や感想文を読むと、うれしいことに『荒川クリーンエイドに参加してみたい』『荒川の源流に行ってみたい』という声が多かった。

 川口市では、2000年ミレニアムを記念して『市民提案夢作り事業』を企画し、そのひとつとして、荒川を通じて源流の大滝村の子供たちと川口市の子供たちを交流させようという取り組みが進みつつある。荒川クリーンエイドに子供たちの参加が増えていることともあわせ、感想文に込められた子供たちの気持ちを生かせないかという試みだ。

 川口っ子や大滝村っ子だけでなく、多くの荒川っ子が母なる荒川を大切に思い、出会いの場を持ったら、ハッピーなのだが...。(林 美恵子(川口っ子夢交流実行委員会))