荒川を自分の庭と思って...

 荒川クリーンエイド2000の活動報告がまとまりました。この報告書を皆様のお手許にお届けできますことは、ひとえに各方面の皆様のご協力、ご支援の賜物と感謝し、ここに厚く御礼申し上げます。

 荒川の下流を訪れた人々から、「荒川のながめは、大変に安らぎを感じる」とよく聞きます。その理由の一つは、荒川が、町の中ではもう見られなくなった東京低地の原風景を思い起こさせてくれるからではないでしょうか。また、荒川の河川敷は、多くの生きもののすみかや通り道でもあり、全国的にも貴重な自然が身近に見られるところでもあります。

 荒川は、治水、利水のほかにも、過密都市にとって重要な役割を担っています。その一つに、都市の気候調節のはたらきがあります。夏には、昼間太陽に照らされたコンクリートの都市では、夜になっても温度が下がらず、ヒートアイランド現象が起こります。東京で、最低気温が25度以上の熱帯夜は、90年前(1901年から10年間の年平均)には0.7日だったものが、1991~2000年には29.6日となりました。東京の平均気温は、この百年間で2.9度も上昇しました。東京都では、こうした異常な気象を和らげるために、このたびビルの屋上にまで緑化を義務付けることになりました。

 東京の下町を流れる荒川の水は、急な温度の変化を和らげています。また水際の植物は、水蒸気を多量に空気中に蒸散して、気候の調節を行なっています。私たちは、荒川の河川敷を単なる空き地としか考えず、川が与えてくれる恩恵を忘れてはいないでしょうか。

 荒川をご自分の家の庭のように考えていただきたいと思います。荒川に散乱するゴミは、見苦しいだけでなく目に見えない影響もあり、荒川をすみかとする動植物にも悪い影響を与えています。荒川下流工事事務所では、今年からゴミ不法投棄の110番や、いつでもどこでもゴミ拾いができる『ゴミ対策アクションプラン』をスタートさせました。

 荒川クリーンエイド2001は、間もなく春から始まります。それは、ゴミを拾うだけでなく、ゴミをとおして地球環境問題を考える機会とし、また荒川の身近な生きものや歴史を知り、上流・中流の地域の人々とも交流しようとするものです。皆様が楽しみながら荒川の魅力を満喫できますように、いろいろ準備しておりますので、今年もどうぞよろしくお願い致します。(野村 圭佑)