2003年 中級(3日目)
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川の案内人(RAC LEADER)研修会 開催報告

第3日:6月29日(日)

講座内容
講義
実習
合計
形態
講 師
(敬称略)
実施場所
0.5
1.5
2
実習
藤原尚雄
郷学研修所講堂
1
 
1
座学
藤原尚雄
郷学研修所講堂
 
1.5
1.5
実習
藤原尚雄
郷学研修所講堂
1
2
3
実習
藤原尚雄
都幾川学校橋付近
0.5
 
0.5
郷学研修所講堂
  • 認定説明
0.5
 
0.5
郷学研修所講堂

総合リスクマネジメント

藤原尚雄氏(カヌーライフ」編集長)

 第3日目、「カヌーライフ」編集長の藤原尚雄さんによる講義は、朝8時から12時まで丸4時間の集中講義でした。このような集中した勉強の時間は、今後二度とないだろうと話しておられました(笑)。

 以下、要点など。


■川の構造と流れの特徴

  • リスクへの対応策と安全配慮義務は同じ。
  • リスクを予見する上で、川の特徴を知ることが重要。(特徴:水がある、流れがある、速い・遅い、深い・浅い、清濁、水量が変化する、川床が多様、自然物豊富、川で楽しむ人がいる、舟が通る、等々)

 

  • 川の特徴別注意点は、以下の通り。
1.水がそこにあれば、溺れる可能性があると思った方がいい。
  • 呼吸を確保する必要があるので、浮力補助具(ライフジャケット)を装備。
  • 浮力の設定:頭が出ればいい。体重の10%が目安。
  • 体重に応じたライフジャケットを用意する。体形に合ったものを使う。

2.流れがある、つまり空間移動があることを示す。

  • 空間移動のリスク対応として、フォローする人員を配置する。
  • 流圧や、水理現象(波、反転、渦、等)にも気を付ける。
  • 速さが2倍 → 圧力は二乗になり4倍、ということを念頭に。
  • ライフジャケットを着けていても圧力がある限り、万全ではない。
  • 川底に潜む「フットエントラップメント」(川の石や流木等、目に見えないワナ)に注意。立てるか立てないかくらいの水深のところで起こる。
  • 流れの中で立とうとすると返って危険。浮力に身を任せる。
  • 「ボディエントラップメント」もある。護岸が自然地形の場合は、流木が絡む箇所ができるので、そこがストレーナーのようになり、体が吸い付いてしまう現象。
  • その他、ライフジャケットエントラップメント、ロープエントラップメントにも注意。
  • 下に窪みがある岩石(アンダーカット)の下に入り込んでしまうと脱出不可能。堰の下はリサーキュレーション(循環流)に注意。
  • アンダーカットやリサーキュレーションは、プロのレスキューでないと対応不能。

3.冷たい。

  • 水の熱伝導率は空気の25倍。水中では25倍の速さで熱を奪われる。
  • 内臓や脳などの深層部体温が下がると死に到る。体温が2.5℃下がると危険。
  • ウェットスーツは断熱効果があり、冷える速度を落としてくれる。
  • 胴長は水が入ると重くなるため使わない。
  • ハイポサミアの初期症状が出る前に、定期的に水から上がるようにする。
  • 濡れた服を着たまま、風に吹かれていると水中にいるのと同じくらいに体温を奪われるので、水から上がった後は、ジャージなどを着せる。

■初期対応(ファーストレスポンス)

  • ファーストレスポンダーの心得は、「self rescue 1st」(自分の安全を第一に考え)、自分が安全でない場合は、救助しない。
  • 次は仲間の安全、その次が要救助者、の順序で考える。
  • 衝動で飛び込んでしまうと命取りになる。

■とっさにできる救助法

 

 

    Ø 叫ぶ(反応を確かめる) パニック状態の場合は、何を差し伸べても無効

    Ø 差し伸べる(棒、ロープ)

    Ø 投げる(ペットボトル、クーラーボックス、浮力のあるもの、ゴミ袋に水を少し入れたもの、など...) 投げるものがあるか、届く距離かどうか

    Ø 陸上からの救助(初期救助の領域)

     

    Ø 水面からの救助(プロの領域)

    Ø 漕いで行く

    Ø 泳ぐ、歩く(引いて帰ってくる)

     

    Ø ヘリコプター

  • 下流に廻って、両岸からロープを張って待機する救助方法は、ロープにつかまることができても水圧がかかるので危険。
  • 両岸からロープを張る場合は、斜め(45°以内)にすると水圧を受けずに救助可能。
  • つかまり方を事前に指導することも大事。手でつかまず、脇で抱えるようにしてつかまるよう指導。
  • 初期対応で最も難しいのは「投げる」行為。
  • スローバッグもテクニックを要する。上投げだと肩を痛めるので、下投げが望ましい。
  • スローバッグのロープは水に浮くポリプロピレン製を使う。
  • 視認できる位置でロープを投げ、ロープ長に余裕を持たせるのがコツ。

 

  • 初期対応のセオリーは以下の4つ。(通称「LAST」)
L:Locate(状況)

A:Access(到達)

S:Stabilization(安定化) ※レスキュースタッフの安全確保も含む

T:Tranport(移送)

  • レスキュー活動のスタートは、発見(または通報)
  • レスキュー活動のゴールは、公的第三者に引き渡すこと & 全員が無事であることを確認すること
  • この両方が満たされないとレスキュー成功とは言えない。
  • 「とりあえず行って来い」はNG。事前の状況判断、事故が発生しないようにする計画がまず重要。
  • レスキュー全員の技量が同じレベルにある必要がある。レベルがバラバラの場合、低い方に合わせなければいけないので機会損失になる。
  • パニックは、対処方法がわからないために起こる症状。要救助者がパニック状態になると、救助者にも負担がかかる。

 

  • パニックの類型は、以下の3つ。
² ノーマル 70%:声をかけると我に返る

² パニック 10%:どうしようもない状態

² カウンターパニック 20%:精神的にはパニックだが、肉体的には動ける状態

  • ノーマル以外のパニックの率をいかに抑えるかがレスキューの課題。

■リスクマネジメント=安全配慮

  • 入念な事前計画が必要。
  • どんなに危ない活動をしても、全員無事に帰れれば問題は生じない。

 

  • 事故が発生すると、以下の訴訟が提起される。
² 民事訴訟→司法の領域、民法709条(不法行為)が適用。警察は不介入。

² 刑事訴訟→司法の領域、刑法211条(業務上過失致死・傷害)が適用。事件性があれば、警察に起訴され、刑事裁判になる。つまり犯罪扱いになる。

² 行政訴訟→海難審判

  • 過失の線引きは、保護者と指導者との過失割合によって変わる。
  • 不可抗力の事故だったことを実証するために、事前に徹底指導する。つまり、いかに過失を減らすかがリスクマネジメント。
  • 川は通常の救助活動の4倍の難しさがあると心得る。
  • 「免責同意書」という表現だと効力は弱い(責任は免れない)ので、「危険の告知書」と改称して、リスクを自覚してもらい、リスク分散を進めている。
  • ライフジャケット、スローバッグ、ホイッスルは必携。

■安全管理の6ケ条

    1. ライフジャケットなしで水の近くに立ち入らない

    ※水に入らないアクティビティの場合でも必要。

    2. 流れの中を流されたら絶対に立とうとしない

    ※安全漂流姿勢(ラッコのポーズ:ヒザを立てて、脚を伸ばす)をとるようにする。

    3. ロープを直接、体に結び付けない

    4. 緊急対応マニュアルを用意

    5. 常に頭数を確認

    6. 上流側に見張り、下流側にバックアップを立てる


救助の基本技術実習

学校橋から撮影した都幾川の様子(*6月28日の朝は水量が多めでした。)

 午後の実習では、実際に都幾川の河川敷に出て救助の基本技術の訓練です。事務局の予測違いで、川の水量が少なく、十分な実地訓練ができなかったのが反省点です。(当初は、水量が見込める鞍掛橋付近で実施する予定でしたが、数日来の雨で、都幾川がかなり増水していたので、浅瀬の学校橋付近でも十分可能だろうと見込んだのですが...)

スローロープの手繰り方の実習 ただ、受講者の方は、緩やかな流れの中で、スローロープ投げや川流れ体験などをじっくり実施できて、満足していたようです。ただし、自らの手でロープを投げ込む時などは、活動をする子どもたちの万が一を考えて真剣そのもの。実習後には、早速、教わった通りに参加者の点呼をしました。NHK「いっと6けん」の取材・収録もあったため、余計に気合いが入った人も? 番組レポーターの青山佳世さんも川に入り、体当たりの取材をされ、参加者から拍手が起こる場面もありました。

 一連の講義終了後は、修了認定を兼ねた確認テストを行いました。約30分程でしたが、一部の歯ごたえのある設問に、全員、真剣。熱心に答えを書きだしていく様子がうかがえました。

 テストを終えた後は、講座全体のしめくくりとして、郷学研修所前で記念撮影。和気あいあいの雰囲気で解散しました。

*今回の講座は、法的な話、安全面の話が中心でした。荒川クリーンエイドが主催する講座としては、川の本質を理解する、川の良さを知る、環境を慈しむ心を学ぶ、といった観点ももっと多く盛り込む必要を感じています。

※本文作成にあたっては、共催団体である荒川流域ネットワークのレポート文を一部参照させていただきました。


【川の案内人(RAC LEADER)研修会 目次】

*講義・実習の単位は、時間(h)です。

講座内容
講義
実習
合計
形態
講 師
(敬称略)
実施場所
 
3
3
実習
山本・国峯・千島
嵐山渓谷・蝶の里他
1
 
1
座学
入江 靖
郷学研修所講堂
 
1.5
1.5
座学
惠 小百合
郷学研修所講堂
1
 
1
座学
香取孝史
郷学研修所講堂
1.5
 
1.5
座学
小谷寛二
郷学研修所講堂
 
2
2
実習
村松直哉
郷学研修所講堂
 
4
4
実習
新井 裕 他
都幾川鞍掛橋付近
     
討論
新井 裕 他
郷学研修所講堂

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