みなさんは、河川敷や道端・空き地に生えている植物を「雑草」と、呼んでいませんか?川や池で獲れるサカナを「クチボソ」と、呼んでませんか?荒川で獲れる魚のハゼを「ダボハゼ」って呼んでませんか?「雑草という名の植物はない」とも言われています。20世紀最高の名言だと僕は思います。生き物すべてに名前があり、生き物すべてに生活があります。このコーナーでは、自然案内人の目線で、荒川の生き物の「生活」をご紹介します。目からうろこが落ちた!……は、保障できませんが、くどくならない程度、飽きない程度に、「荒川いきもの生活日記」をご紹介します。 活動1自然案内人
橋本浩基

小さいけど案外役に立ちます! ~カタバミ~

河川敷のいたるところに小さい、黄色い花を咲かせる花を見たことありますよね?ハート型の3枚からなる葉っぱがついてる植物。カタバミです。

カタバミは夜になると、ハート型の葉っぱをたたみます。その姿が、牛や馬が葉っぱを片方だけ食べた様子に見え、片方だけ葉っぱを喰う。そこから、カタバミ(方喰)と命名されたとか。
彼らは、シュウ酸等の成分を含んでいるので、楽しいことができます。黒くなった10円玉をご用意ください。カタバミの葉っぱを少し採って、10円玉を磨いてください。あ~ら不思議!10円玉は、ピカピカになります。昔の女性たちは、鏡をカタバミで磨いていたという言い伝えから、日々の自分の心を磨くという願いを込め、某私立高校の校章になっています。

彼らの種を見たことありますか?成熟した種を弾き飛ばすのです。30~50cmぐらい。最長で1mともいわれています。地下茎も深く伸ばすので、なかなかの繁殖力と勢力があります。戦国武将は衰退しない勢力を、子孫繁栄・家運隆盛とし、カタバミを家紋にしたそうです。五大家紋になっています。

シュウ酸があるので、すっぱい味がするそうですが、少量なら食べられるそうです・・・。大量に食べないほうがいいと思いますよね。食べ過ぎるとお腹が緩くなるそうです。でも、彼らを主食としている生き物がいます。チョウの仲間のヤマトシジミです。幼虫はとても小さいので見つけにくいのですが、今度気長に見つけてください!ちなみに、カタバミのハート型の3枚の葉っぱを、1枚だけ取り外してみてください。ヤマトシジミにそっくりです!


ショッパグサとかネコアシと地方名はついています!

河川敷や道端の野菜? ~カラスノエンドウ~

そろそろ荒川河川敷にも道端にも、ひときわ目を引く鮮やかな紅紫の花が咲き始めますね。先端に巻きひげ状の蔓があるマメ科の植物。ソラマメに近いカラスノエンドウです。

彼らは、とてもおいしいです。葉っぱは、お浸し、天ぷらに。「エンドウ」と名がつくだけに、実も柔らかいうちに、バターと醤油で炒めてください。ある小学校の環境学習で、カラスノエンドウの観察をし、採った実をバター醤油炒めにして、みんなで食べました。保護者の方はもちろん、子ども達も「おいしい~!」と、大好評でしたが担任の先生いわく「給食で出したら残すだろな~」。子ども達にはちょっと苦いのかな? オリエント~地中海地方が原産国。この地方ではエンドウマメと一緒に農作物として栽培していたと考古学的書物に記載されているそうです。だからおいしいのですね!

ヤハズエンドウと別名を持っていますが、正式和名はカラスノエンドウ。漢字にすると、烏野豌豆ですが、これは中国漢字です。人間が利用するもので、大きめのものを「カラス」とつけます。エンドウは円豆(エンズ)がエントウとなり、カラスエンドウになりました。また熟した実は黒くなり、その色から「カラスノエンドウ」と命名されたという説もあります。
さて、大きいのがカラスなら、小さいのは「スズメ」です。実は「スズメノエンドウ」という種もあり、違いは花の色です。紅紫のカラスノエンドウ。薄青色がスズメノエンドウ。カラスノエンドウには、葉の付け根に「蜜線」があるのが大きな違いです。カラスとスズメの中間の大きさもあり、カラスとスズメの間という意味で「カスマグサ」と呼ばれています。
この春は、3種の違いをよく観察してみてはいかが?


花は、杏仁豆腐やゼリーの彩りに使うと、一層おいしく見えるかも?食べるときは慣れた人の指導の下で!

寒くたって平気です! ~タンポポ~

何年か前に、小学校の先生から「一年中咲いている花ってありますか?」って質問されました。皆さんはどう思います?あると思いますか?ないと思いますか?では、すぐに荒川河川敷に行ってみてください。よく見ると、ちらほらと黄色い花が、地面すれすれに咲いているはずです。そう、タンポポです。タンポポでも「セイヨウタンポポ」外来種です。

春や夏に見かける彼らは、茎の長さはまちまちで結構な長さですよね。実は、寒い時期には寒さから身を守るように低く咲いています。また、花を咲かせていない状態を「ロゼット状」(バラの花びら状)と呼んでいます。セイヨウタンポポ以外にもたくさんロゼット状になる植物がいます。ロゼット状に近い状態で冬を越すものもいますが、ロゼットの定義があり、その定義に当てはまらないとロゼットとは言えません。葉っぱが放射状になっていて葉っぱ同士が交差しない。そして、中心に幾重にも葉っぱが重なっている新芽があること。これが定義です。

日本には、カントウタンポポ、シロバナタンポポ、エゾタンポポなど種類がありますが、私たちがみかけるタンポポは「セイヨウタンポポ」だと思ってよいでしょう。セイヨウタンポポはクローン(受粉しなくても増えていくもの)でも増えることが可能です。したがって、江戸時代ぐらい「食用」として日本に持ち込まれた彼らは、綿毛で種を飛ばし、あっという間に日本中に広まってしまったそうです。最近は、在来種のタンポポとセイヨウタンポポの交雑種も多数見られれるようになり、在来タンポポの減少に輪をかけています。

タンポポの茎を切って断面に切り込みを入れると、くるっと反り返って「鼓」みたいになりますよね。鼓をたたくと「タン・ポン・ポン」と音がするところから「タンポポ」という説が有力ですが、その他の説もあります。英名は「ダンディー・ライオン」葉っぱのギザギザをライオンの歯に見立てたそうです。
食用に入ってきた彼らを、ぜひ食してみてください。葉っぱはサラダ、お浸し。花は、てんぷらで!天ぷらにすると苦味がないそうです。


花びららのようなのがひとつの花です。花の集合体です。

春の七草ではないのですが・・・・ ~ホトケノザ~

この時季、荒川土手の日当たりのよい斜面を見ると、紫色の細長い花が咲いています。茎をひと回りするような葉っぱがついています。本当は、春の野草なのですが、気の早い個体は12月に咲き出します。そうです。「ホトケノザ」です。

「ホトケノザ」というと、皆さんも「春の七草」のひとつが浮かんでくると思います。春の七草のホトケノザは、キク科の野草です。「コオニタビラコ」という標準和名がついています。「ホトケノザ」・・・いかにも春の七草に、思えてしまうような和風的な名前ですね。実はシソ科の野草で原産国は東アジア、ヨーロッパ、北アフリカに広く分布している外来種です。
茎をひと回りする葉っぱが、仏様が座る"蓮座(れんざ)"に似ていることから、「仏様が座る」で、ホトケノザ命名されたそうです。また、その蓮座が三重構造になっていることから「サンガイグサ」とも呼ばれています。

ホトケノザを見つけたら、『茎』に注目してください。ちょっとだけ茎を拝借して、その形を確認してください。普通、茎の形は丸いですよね。ところが、ホトケノザは『四角』です。ホトケノザに限らず、シソ科の植物の茎は四角いのです。それがシソ科の特徴です。シソ科には、ミントやハーブ系の一部もあります。『セージ』もシソ科で、サルビアに近い仲間です。日本のシソは、ジャパニーズ・ミントというところでしょうか。

ホトケノザは、本当は冬に発芽し、春を待ち3月に開花するのが普通なのですが、今の時季に咲くということは、早咲き?遅咲き?どちらでしょうか?きっと咲いているのは温暖化の影響でしょうね。


一面に咲き乱れると、圧巻です。紫色と濃い緑色の絨毯みたいです。

匂うけど・・・大和撫子なんです! ~ヘクソカズラ~

この時季、河川敷の低木や、セイダカアワダチソウ・ヨモギなどに絡まっていて、茶色い実をつけている植物を見たことありますか?見つけたら、実をひとつ取って軽く潰して下さい。薄い茶色の液が出てきたら、その香りを楽しんで下さい!葉っぱもね!

「だまされた!とんでもない匂いがしたぞっ!!」って、怒らないで下さい。その匂いが、彼らの名前の由来です。そう、ヘクソカズラ。よく言えば「タクアン」。悪く言えば名前そのもの。屁糞・・・。
とは言うもの、彼らはれっきとした在来種です。大和撫子です。万葉集にもその名は載っています。もっと、かわいそうな名前ですが・・・「クソカズラ」です。でも、ある意味、ナイス ネーミングかな?最悪かな?
でも、別名はとてもいい名前です。「サオトメカズラ」(早乙女かずら)。花がとてもきれいなのです。白いラッパ形の小さな花で、中心部が赤みの強い紫がかった色です。まるで、ヨーグルトの上にラズベリージャムをかけた感じ。見た目はおいしそうなのですが・・・。その、赤紫色がお灸の後にも見えるので「ヤイトバナ」。馬も食べそうにもないので「ウマクワズ」、とも呼ばれています。サオトメカズラ・・・ちょっと、褒めすぎかな?

さて、匂いのきつい彼らでも、我々を助けてくれることもあります。この時季、手のしもやけ、あかぎれ、ひびわれなどでお悩みの方に朗報です。熟した実をよく洗い、潰します。市販のハンドクリームが10に対し、ヘクソカズラを2の割合でよく混ぜて幹部に塗り、ガーゼをあてがって下さい。朝夕一日2回取り替えると、幹部に潤いが伝わり、あらまぁ~!!すごい!というような効果が出ます。ただ、昔から行われている、民間療法です。
*注:効果は人によって違います。行うときは十分にお気をつけ下さい。

植物には、いろいろな匂いがあります。ヘクソカズラより数百倍くさいもの。桃の缶詰みたいな匂い。。加齢臭の気になるお年頃の僕は、ヘクソカズラみたいな奴だなっ!て、言われないように、温泉の元を入れて、今日もお風呂に入ろう!


花は本当に、きれいでしょう!でも、名前は・・・。ヘクソ・・・。

犬・猫・狐? バッタの人気者? ~エノコログサの仲間たち~

今の時期、荒川河川敷では、ネコジャラシの穂が金色や紫色や緑色のじゅうたんのように風に揺られている光景を見ますよね。このネコジャラシは、河川敷にはなくてはならない食物連鎖の中心的存在です。
ネコジャラシ・・・普通に言いますが、「あだ名」です。標準和名は「エノコログサ」。"エノコロ"は、イヌッコロという意味で、犬がじゃれて遊んでいる様子に見えるので「エノコログサ」と言うそうです。ネコジャラシは、猫がじゃれるので「ネコジャラシ」です。あだ名が「猫」、本名が「犬」。すごいでしょう?でも、驚くなかれ!英名は「フォックス・テール」。狐のしっぽと言う意味です。ひとつの植物で3つの動物の名前がついているのですよ!

キンエノコロは、まさに金色の穂です。ムラサキエノコロは、まさに紫色の穂です。この2種は見分けるのは簡単!色です!でも、アキノエノコロとエノコログサはなかなか見分けにくいです。アキノエノコロは、穂が少し長く8~12cmで、穂が白っぽく見えます。エノコログサは、穂が3~8cmで、穂は緑色で、背丈もちょっと低いです。これが荒川河川敷の代表的なエノコログサたちです。

彼らの「たね」を食べたことがありますか?えっ、食べられるのか?ですって?食べられます!!たねが茶色っぽくなったら、食べごろですよ!たねをフライパンに落としてください。そして、ポップコーンのように白く爆ぜたらお皿にあけて、しょう油を適量かけて食べます。まるで香ばしい焼きたての「おせんべい」そっくりです!だって、イネ科ですから!野生のおせんべいをぜひぜひご賞味あれ!でも、お腹いっぱいにするにはかなりの量が必要なので、おやつ程度にしてくださいね・・・。
なお、粟はエノコログサを栽培用に改良したものといわれ、日本人は以前からこの仲間を食べていたわけです。

彼らは、バッタ類にも大人気。いろんなバッタたちが、エノコログサたちの葉っぱを食べます。バッタを飼育するときは、エノコログサなどのイネ科の植物がよいですよ!


金色のじゅうたんのような、キンエノコロ。

晩秋のドリンクバー~セイタカアワダチソウ~

日中も過ごしやすくなってきましたね。河川敷でも花を咲かせている植物の姿も限られてきました。そんな中、今が満開時期を迎えている植物があります。「セイタカアワダチソウ」です。背の高い(2mぐらい)種子のつき方が白い泡のようになるところから、セイタカアワダチソウ。

明治時代に観賞用植物として日本にやってきた彼らは、キク科のアキノキリンソウ属の植物。綿毛の種子を空き地や河川敷に飛んできて、どんどん増えていきました。増殖に拍車をかけた理由は、北アメリカ原産の彼らの種子が、戦後の日本にやってくるアメリカ軍人の服や靴についてきて、あっという間に増えたそうです。外来種は強いですなぁ~・・・。

晩秋にまで咲く彼らは、チョウたちにとって、一番遅くまで咲いている「食料」なのです。深夜営業のファミレスのドリンクバー?ってところでしょうか?そんなドリンクバーには、いろんなチョウがやってきます。モンシロチョウやシジミチョウ類、アゲハ類、ツマグロヒョウモンなどなど。ですから、この時期にセイタカアワダチソウを全部刈り取ってしますと、この時期のチョウたちの「食料」が、なくなってしまうのです。外来種ではありますが、その地域の「生態系」のひとつになっていることも事実なのです。う~ん難しいですな・・・。

一昔前までは、彼らを「花粉症」の原因と思われていましたが、とんだ濡れ衣だったのです。なぜかって?花粉症の原因は「花粉」種子を飛ばす彼らの種子は原因にはならないのでした!無実が証明されたのです!

セイタカアワダチソウ・・・黄色い花は、さすが観賞用に日本に来ただけあって、きれいで見栄えがします。一輪挿しにして飾るとよいかも。あっ!秋の花見はぜひセイタカアワダチソウで!


クズ

皆さんの、クズのイメージはどんな感じですか・・・?邪魔者?一面を覆いつくす緑の悪魔?いやいや、クズはれっきとした在来種で、しかも秋の七草です!荒川河川敷でススキとともに見られる秋の七草です。残念ながら、この2種類ですかね・・・下流部で見ることができるのは。

お好きな服は?・・・質問ではないですよ!まじめにワンピース!とかって答えないでくださいね。
実は「おすきなふくは」って、秋の七草の覚え方です。
お:オミナエシ す:ススキ き:キキョウ な:ナデシコ ふ:フジバカマ く:クズ
は:ハギ・・・・ということです。ぜひ活用してください。

さて、本題のクズですが、きれいな紫色の花を咲かせます。この匂いを嗅いだこと、ありますか?
色から想像できますが、某ドリンクメーカーの「グレープジュース」そっくりの匂いです。今が咲きごろの彼らの香りを嗅いで、のどを潤す清涼感を味わってください!匂い以外にもクズは、食材としても楽しめます。葛湯・葛餅・若芽のてんぷら。などなど。

クズの名前の由来は、その昔、葛粉を売りに来ていた行商人が、今の奈良県辺りの「葛」という地方から来ていて、葛から売りに来る「粉」から、クズという名前がついたそうです。

日本の在来種も外国に行けば外来種。彼らもアメリカに外来種として生きています。ジキルとハイドみたいに、いい面と悪い面があり、蔓延る性質が重宝され、高速道路の外壁に這わせて「騒音対策」にされていますが、悪い面は、野生化したクズは、他の植物を覆いつくし「ジャパニーズ・グリーン・モンスター」といわれ嫌われ者になっています。いやはやなんとも・・・。

冬になると、クズの根が掘りやすくなりますので、皆さんも「葛粉」作りに挑戦しましょう!えっ?作り方を教えろですか?すいません。書くスペースがなくなりました・・・。


クズの花。満開になるとグレープジュースの香りが漂います

ヤブガラシ

ヤブガラシ・・・辛そうな名前でしょう!5mmぐらいのカップ状の花が、アジサイのようにたくさんつく、なかなかかわいい花。オレンジ色になっている花を舌の先でちょっと舐めてみてください。えっ?辛いんでしょう!って?確かに辛そうな名前ですが、蝶などの昆虫がたくさん寄ってきています。ということは、辛くありません!ものすごく甘いのです!ヤブガラシはブドウ科の植物。ツルを広げはびこります。その姿が「藪を枯らす」様に見えるので、藪枯らし、ヤブガラシと名前が付いたそうです。

そのツルを、よ~く見てください。途中でツルの巻き方が変わります。いきなり、右に巻いていたツルが左巻きになります。理由はよくわかりません・・・・すいません・・・。

5mmぐらいの小さな花に、たくさんの蜜があります。なので、昆虫が寄ってきます。アゲハチョウやセセリチョウの仲間。そうそう今朝、散歩していたらヤブガラシに、キマダラセセリというセセリチョウの仲間が吸蜜しているところを見ました。早起きは三文の徳ですなっ!蝶なら安全ですよね!でも、アシナガバチの仲間もたくさんやってきます。気をつけてくださいね!

6月~8月に花が咲きます。まさに今が、ヤブガラシの旬です。昆虫喫茶店!彼らのそばでじ~っとしていると、いろんな昆虫を見ることができますので、熱中症に気をつけて観察してみてください。糖分はヤブガラシで補給してみては・・・・。


ヤブガラシ

タネツケバナ

?白くて可憐な野草で、水田のあぜや、水辺の湿地に見られる野草。これは、はっきりいって、おいしい!!てんぷら、おひたし!お酒が進む進む。それもそのはず、アブラナ科の仲間だからです。稲の苗を作るため、稲の種を植える時期に水田のあぜで咲き始めるので、タネツケバナと名前がつきました。荒川河川敷にもたくさん生えているので、酒の肴にしてみてはいかがでしょうか?!
注意1 よ~く洗ってください!
注意2 生で食べると「クレソン」に似た味がしますが、食べ過ぎに注意!

江戸川区平井にて